寝てる時に息ができなくなり起きる原因は?睡眠時無呼吸症候群の症状について解説
寝てる時に息ができなくなって起きるのは、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群はその名の通り、睡眠中に一時的に呼吸が止まってしまう病気です。
睡眠不足の原因になるのはもちろん、合併症のリスクもあるため早めの治療が必要です。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群について詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群の症状や治療方法、合併症のリスク、他に考えられる病気などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
寝てる時に息ができなくなる・起きるのは睡眠時無呼吸症候群の疑いあり
夜中に突然目が覚めてしまったり、息苦しさを感じて目が覚めた経験がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
この病気は睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態を繰り返すもので、重症化すると日中の強い眠気や集中力の低下、さらには高血圧や心疾患などのリスクも高まります。
いびきが大きい、日中に強い眠気を感じるといった症状がある方は、一度医療機関で検査を受けることが大切です。
ここでは睡眠時無呼吸症候群について詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が10秒以上停止する「無呼吸」や、呼吸が浅くなる「低呼吸」が繰り返される病気です。
この状態が一晩に何度も起こることで、体が十分な休息を取れず、日中の眠気や集中力の低下を引き起こします。
長期間放置すると高血圧や心筋梗塞、脳卒中といった重大な合併症を招くこともあるため注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は自覚しにくい病気であるため、家族の指摘やセルフチェック、睡眠時の検査などで早期発見・治療を行うことが大切です。
睡眠時無呼吸症候群は3つのタイプに分類される
睡眠時無呼吸症候群は原因の違いによって、主に「閉塞性」「中枢性」「混合型」の3つに分類されます。
それぞれのタイプによって原因や治療方法が異なるため、正確な診断を受けて、自分に合った治療を行うことが大切です。
ここでは上記3つのタイプについてそれぞれ解説します。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、気道が物理的に塞がれることで呼吸が妨げられるタイプで、全体の中で最も多く見られます。
特に肥満やあごの形、舌が大きい、扁桃腺が腫れているといった要因が関与します。
眠っている間に筋肉が緩み、舌や軟口蓋が喉の奥に落ち込むことで気道が狭くなり、呼吸が困難になるのが特徴です。
治療としてはCPAP療法による気道の確保やマウスピースの使用、場合によっては外科的手術も検討されます。
中枢性睡眠時無呼吸症候群
中枢性睡眠時無呼吸症候群は、脳の呼吸中枢からの指令が一時的に止まることで呼吸が止まってしまうタイプです。
このタイプは閉塞性とは異なり、気道に物理的な障害はありませんが、脳が呼吸する指令を出さなくなることで呼吸が止まります。
心不全や脳血管障害と関連している場合が多く、特に高齢者に多く見られる傾向があります。
原因となる基礎疾患の治療が必要です。
混合型睡眠時無呼吸症候群
混合型睡眠時無呼吸症候群は、閉塞性と中枢性の両方の特徴を併せ持つタイプで、医療機関での正確な診断・評価と適切な治療が大切です。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中だけでなく、起床時や日中にも特徴的な症状が現れます。
ここでは睡眠時・起床時・日中の症状についてそれぞれ解説します。
睡眠時の症状
睡眠時に現れる症状として、以下が挙げられます。
- 呼吸が止まる
- いびきをかく
- 息苦しさを感じる
- 夜中に何度も目が覚める
- 寝汗をかく
- 夜間頻尿
睡眠時無呼吸症候群の最も特徴的な症状は、睡眠中の呼吸停止やいびきです。
代表的なものは大きないびきで、一定のリズムでいびきをかいていたかと思うと、突然いびきが止まり、しばらくして呼吸が再開されるというパターンが繰り返されます。
この間、呼吸は止まっており、酸素不足の状態に陥っています。
また無意識のうちに頻繁に寝返りを打ったり、息苦しさから目が覚めることもあり、深い眠りの割合が減ってしまいます。
結果として、睡眠の質が大きく低下します。
起床時の症状
起床時の症状は以下の通りです。
- 口が渇く
- 体が重い感じがする
- 頭痛
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、起床時に頭痛や口の渇きを訴えることが多いです。
特に起き抜けに頭痛を感じることが多く、これは睡眠中の酸素不足や高炭酸ガス血症に起因すると考えられています。
また呼吸がしにくくなることで口呼吸になりやすく、朝になると口の乾燥を感じることもあります。
さらに長時間眠ったはずなのに疲れが取れず、「ぐっすり寝た感じがしない」「眠りが浅い」と感じるのも典型的な症状です。
こうした不調は日中の活動にも悪影響を及ぼします。
日中の症状
日中の症状として、以下が挙げられます。
- 強い眠気を感じる
- だるさや倦怠感がある
- 集中力が続かない
- 注意力が低下する
- イライラしやすくなる
睡眠中に十分な休息がとれないため、日中には強い眠気や集中力の低下といった症状が現れます。
特に会議中や運転中に眠気に襲われるなど、社会生活や仕事に支障をきたす場面も少なくありません。
さらに些細なことでイライラしたり、記憶力の低下を感じたりすることもあります。
慢性的な疲労感や倦怠感が続くと、うつ病や不安障害などの精神的な症状につながることもあり、生活の質が著しく低下する恐れがあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
睡眠時無呼吸症候群の主な治療方法として、以下の4つが挙げられます。
治療方法 | 特徴 |
---|---|
CPAP療法 | 鼻にマスクを装着し、専用の装置を通して気道に直接空気を送り込む治療方法。気道がふさがりにくくなり、睡眠の質が改善される。 |
マウスピース | 歯科で患者さんに合わせたマウスピースを作製して装着する方法。気道が広くなり、睡眠の質が改善される。 |
外科手術 | 上記方法では改善されない場合に選択される治療方法。軟口蓋形成手術や下鼻甲介切除術など、原因に合わせた手術方法が選択される。 |
生活習慣の改善 | 肥満の改善や寝る姿勢の見直し、飲酒量のコントロールなどにより、症状の緩和を図る治療方法。 |
上記の中で最も一般的な治療方法が「CPAP療法」です。
中等症~重症の睡眠時無呼吸症候群の場合など、一定の条件を満たせば保険適応で治療が行えます。
睡眠時無呼吸症候群は合併症にも注意が必要
睡眠時無呼吸症候群は合併症にも注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群と合併しやすい病気として、以下が挙げられます。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脳卒中
- 心血管疾患
ここでは上記4つの病気についてそれぞれ解説します。
高血圧
睡眠時無呼吸症候群で起こりやすい合併症の一つに、高血圧が挙げられます。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは高率に高血圧が合併するとされており、中には自覚症状がなく気付いていない人も少なくありません。
高血圧は基本的には自覚症状がありませんが、血圧がかなり高まると頭痛やめまい、肩こりといった症状が現れることがあります。
また高血圧を放置しておくと脳卒中や心疾患、腎疾患といった重大な病気を引き起こすこともあるため、早めの治療が肝心です。
糖尿病
睡眠時無呼吸症候群は、インスリンの働きに悪影響を与えることで糖尿病の発症や悪化にもつながることが分かっています。
呼吸が止まるたびに酸素不足になり、結果としてインスリンの働きが悪くなるために血糖値が上昇しやすくなるのです。
また睡眠の質が悪化することで生活習慣が乱れやすくなり、過食や運動不足を招いて血糖コントロールが難しくなるという悪循環に陥ることもあります。
睡眠時無呼吸症候群の重症度が高いほど糖尿病の発症リスクが高まるとされているため、睡眠中の症状にお悩みの方は早めに治療を行いましょう。
脳卒中
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる重篤な疾患ですが、睡眠時無呼吸症候群の患者さんはそのリスクが高まることが知られています。
睡眠時無呼吸症候群による低酸素状態や血圧の変動が、血管へのダメージを蓄積させる原因となり、動脈硬化の進行を促すのです。
その結果脳への血流が不安定になりやすく、脳梗塞などの引き金になることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の早期発見・治療により、将来的な脳卒中のリスクを大きく減らすことが可能です。
心血管疾患
心血管疾患、特に心筋梗塞や心不全、不整脈といった命に関わる病気も、睡眠時無呼吸症候群と強く関連しているため注意が必要です。
無呼吸による酸素不足と、それに伴う交感神経の過剰な働きは心臓に大きな負担をかけます。
睡眠時無呼吸症候群は夜間に心拍数増加や血圧上昇が起こりやすく、心臓が常にストレス状態にさらされることになります。
その結果、心血管疾患を引き起こす可能性が高まってしまうのです。
このような心血管疾患を予防するためにも、睡眠時無呼吸症候群の治療は非常に重要です。
寝てる時に息苦しくなるほかの病気
寝てる時に息苦しくなるほかの病気として、以下が挙げられます。
- 喘息
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 心不全
- 狭心症
- 心筋梗塞
- パニック障害
ここでは上記6つの病気についてそれぞれ解説します。
喘息
喘息は気道が慢性的に炎症を起こし、狭くなることで呼吸困難や咳、喘鳴(ゼーゼー音)を引き起こす病気です。
夜間や明け方に症状が強く現れることが多く、眠っている時に息苦しくなって目が覚める人も少なくありません。
特に季節の変わり目やアレルゲンの影響を受けやすい時期は発作が頻発しやすく、睡眠の質も大きく低下します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は長期間の喫煙などによって肺がダメージを受け、呼吸がしづらくなる病気です。
気管支が炎症を起こし、さらに肺胞が破壊されることで、酸素を取り込む機能が著しく低下します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は特に夜間や早朝に呼吸が苦しくなることが多い特徴があります。
進行すると日常生活にも支障をきたすため、早期の禁煙と薬物療法が大切です。
心不全
心不全は、心臓のポンプ機能が低下して体に十分な血液を送ることができなくなる病気で、夜間に息苦しさを感じる原因の一つです。
心不全は日中に息切れや動悸、足のむくみといった症状が現れ、夜間には横になった時に息苦しさが強くなる場合があります。
心不全は早期に対処しないと命に関わるため、夜間の息苦しさがある場合はすぐに医師の診察を受けましょう。
狭心症
狭心症は、心臓の筋肉に酸素や栄養を運ぶ冠動脈が狭くなり、血流が不足することで胸の痛みや息苦しさを引き起こす病気です。
通常は日中の運動時に症状が現れやすいですが、不安定狭心症の場合は夜間や睡眠中に発作が起きることがあります。
寝ている最中に胸の圧迫感や苦しさで目が覚めることもあり、重症化すると心筋梗塞に進行する恐れがあります。
このような症状がある場合は、早急に医療機関の受診が必要です。
心筋梗塞
心筋梗塞は、冠動脈が完全に詰まり、心筋に酸素が届かなくなることで発生する命に関わる病気です。
発作は突然起こり、強い胸の痛みや圧迫感、冷や汗、呼吸困難などが生じます。
夜間や明け方に起こるケースも多く、睡眠中に強い息苦しさで目が覚めることがあります。
少しでも心筋梗塞が疑われる症状が出た場合は、ただちに救急車を呼びましょう。
パニック障害
パニック障害は、突然強い不安に襲われ、息苦しさや動悸、発汗、震えなどの身体症状が現れる精神疾患です。
夜間に発作が起こることもあり、睡眠中に突然息苦しくなって目が覚め、「このまま死ぬのでは」と感じるほどの恐怖に襲われることもあります。
症状が続く場合は精神科や心療内科での相談が必要です。
まとめ
寝てる時に息ができなくなり起きるのは、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まるだけでなく、起床時に頭痛や口の渇きを感じたり、日中に強い眠気や注意力・集中力の低下なども見られたりするのも特徴です。
睡眠時無呼吸症候群は高血圧や糖尿病、脳卒中、心血管疾患などの合併症のリスクもあるため、上記のような症状がみられる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
『金山こころとねむりのクリニック』では、睡眠時無呼吸症候群の治療を行っています。
ほかにも不眠症やパニック障害などの治療も行っているため、睡眠に関するお悩みがある方はぜひ当院にご相談ください。