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心療内科とは?精神科との違いや主な治療方法などについて解説

[2025.06.12]

心療内科は心に不調をきたしたときに受診する診療科と認識している方も多いのではないでしょうか。

しかし実際は心の不調だけでなく、ストレスや精神的な原因によって体に現れる不調を治療するための診療科でもあります。

この記事では、心療内科は具体的にどのような診療を行うところなのか解説します。

精神科との違い、主な対象疾患、治療法、初診で聞かれる内容などもまとめているため、心療内科の受診を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

心療内科とは

心療内科とは、ストレスや精神的な原因によって体に不調が現れたときに受診する診療科です。

ここでは心療内科の主な診療内容や精神科との違いについて解説します。

診療内容

心療内科は、ストレスや精神的な原因によって体に不調が現れる「心身症」を主な診療対象としています。

心身症の具体的な症状としては、腹痛や頭痛、不眠、食欲不振、倦怠感、疲労感、めまい・耳鳴り、気分の落ち込みなどが挙げられます。

これらの症状に対し、身体的な治療だけでなく、心理的な治療も組み合わせて行っていくのが心療内科の特徴です。

心療内科と精神科の違い

心療内科は心理的原因によって身体に不調が起こる「心身症」を主な対象としていますが、精神科はうつ病や統合失調症などの「精神疾患」を専門に診療しているのが特徴です。

受診する患者さんの症状として以下の違いがあります。

  • 心療内科:ストレスや精神的な原因からくる体の不調(腹痛、頭痛、不眠、食欲不振、倦怠感など)
  • 精神科:精神的な症状(不安、抑うつ、不眠、幻覚、物忘れなど)

体の不調がつらい場合は心療内科、心の不調がつらい場合は精神科の受診を検討してみるとよいでしょう。

心療内科の主な対象疾患

心療内科の主な対象疾患は以下の通りです。

  • 軽症うつ病
  • パニック障害
  • 自律神経失調症
  • 摂食障害
  • 睡眠障害
  • 慢性疼痛
  • 過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア

ここでは上記7つの対象疾患についてそれぞれ解説します。

軽症うつ病

うつ病は、気分が落ち込んで憂うつになったりやる気が出なくなったりする「抑うつ」が主な症状ですが、身体的な不調が現れる場合もあります。

例えば食欲の低下や性欲低下、頭痛、動悸、めまいといった症状です。

これらの症状は心療内科での治療が可能です。

うつ病はその症状の重さによって軽症・中等症・重症の3段階に分けられますが、心療内科では主に軽症うつ病の診療を行っています。

中等症・重症になると日常生活や他人とのコミュニケーションも困難になるため、専門的な治療が必要不可欠です。

重症のうつ病では入院が必要なケースも出てくるため、そこまで悪化してしまう前に適切な医療機関での治療が必要となります。

パニック障害

パニック障害は、突然何の前触れもなく不安や恐怖、動悸、息苦しさといったパニック発作が起こり、それが何度も繰り返される病気です。

このパニック発作は5~20分程度でおさまり、身体的な検査では異常が見つかりません。

強い不安や恐怖だけでなく、めまいや吐き気、息切れ、胸の痛みといった身体的な症状が伴うのも大きな特徴です。

パニック発作を何度も繰り返していると、「またあの発作が起こるかもしれない」といった不安が常に付きまとう「予期不安」が起こる場合も多いです。

予期不安から特定の場所を避けるようになったり、外出自体に恐怖を感じるようになったりすることもあります。

治療せずに放置していると社会生活にも影響を及ぼすようになるため、早い段階での治療が必要です。

自律神経失調症

自律神経失調症は、自律神経のバランスが崩れることでさまざまな身体症状が現れる病気です。

主な症状としては、動悸や立ち眩み、血圧上昇、頭痛、下痢・便秘、肩こり、手足の冷え、疲労感などが挙げられます。

自律神経はあらゆる臓器とつながっているため、上記のほかにもさまざまな症状が起こるのが特徴です。

自律神経の乱れを確認する検査はないため、診断が難しい病気の一つでもありますが、自律神経の乱れを引き起こす原因(食生活やストレスなど)を改善することで症状が軽減する場合があります。

自律神経失調症が長期化すると、過労死の原因となったり他の病気を引き起こしたりすることがあるため注意が必要です。

摂食障害

摂食障害は、食事の量や食べ方などの食事に関連した異常な行動が続き、心身にさまざまな症状が現れる病気です。

摂食障害は食事を食べすぎてしまう「過食症(神経性大食症)」と、極端に食事制限をする「拒食症(神経性無食欲症)」の2種類に分けられます。

摂食障害はただ単に太りやすくなってしまう、痩せやすくなってしまうというだけでなく、栄養状態が悪くなることで生命にもかかわる病気です。

適切な食事や生活習慣の指導を受けながら、体重や食事に対する認識を改善するための治療が必要となります。

睡眠障害

睡眠障害は、睡眠に関する何らかの問題が生じる病気の総称です。

代表的な睡眠障害として、不眠症や睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)、過眠症などが挙げられます。

睡眠が妨げられることで倦怠感や集中力の低下、日中の眠気などの症状が現れることがあり、重度になると日常生活に支障をきたします。

また睡眠障害は高血圧や脳卒中、心筋梗塞、心不全といった合併症の原因にもなるため、早めの治療が肝心です。

慢性疼痛

慢性疼痛は、痛みが長期的に続いている状態です。

検査をしても原因が特定できず、通常の薬物療法や処置でも改善がみられない場合があります。

このような場合は心理的な要因が関係していることもあるため、心療内科での治療が可能です。

例えば痛みに対する過度な恐怖、精神的ストレスなどにより、痛みが引き起こされる場合があります。

心療内科では薬物療法や心理療法、生活指導などさまざまなアプローチで症状の改善を図ります。

過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア

過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアは、炎症や腫瘍といった明確な原因が見当たらないにもかかわらず、腹痛や胃もたれ、吐き気、下痢、便秘といった胃腸症状が現れる病気です。

血液検査や内視鏡検査、超音波検査などでも異常が認められない場合、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアが疑われます。

これらの病気の発症には、食事や睡眠などの生活習慣の乱れ、精神的ストレス、過労などが関係していると考えられています。

心療内科の主な治療方法

心療内科の主な治療方法は以下の4つです。

  • 心理療法
  • 薬物療法
  • TMS治療
  • 生活指導・環境調整

これらを組み合わせながら、患者さんに合った治療を行っていきます。

ここでは上記3つの治療方法についてそれぞれ解説します。

心理療法

心理療法はカウンセリングや認知行動療法などを通じて、患者さんが抱える心理的な問題にアプローチする治療法です。

ストレスの原因や思考の偏り、過去のトラウマなどを整理し、より適切な対処法や考え方を身につけることを目的としています。

医師や臨床心理士と対話を重ねることで、自分自身を理解し、問題の根本解決を図ることができます。

特に不安障害やうつ病、心身症に対して有効とされており、薬物に頼らない治療としても注目されています。

薬物療法

薬物療法は、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などを使用する治療法です。

心理的な苦痛が強い場合や身体的症状が日常生活に支障をきたしている場合には、薬により症状を改善します。

ただし薬はあくまで症状を和らげる手段の一つであり、根本的な解決には他の治療と併用することが望ましいとされています。

医師の指導のもと、適切な服用が必要です。

TMS治療

TMS治療は、脳に繰り返し磁気による刺激を与えることで、脳の働きを正常化する治療方法です。

主にうつ病や強迫性障害などに効果がある治療方法で、うつ病については保険適応が認められています。

うつ病の一般的な治療方法である抗うつ薬にはさまざまな副作用がありますが、TMS治療は副作用が少ない点が大きな特徴です。

また抗うつ薬が効きにくい治療抵抗性うつ病の方に対しても、高い改善効果がみられます。

生活指導・環境調整

心療内科では、日常生活の見直しや環境の調整も重要な治療の一環とされています。

具体的には、規則正しい生活習慣、適度な運動や休息、職場や家庭環境の改善などが含まれます。

ストレスの多い状況が続くと心身の不調は改善しにくくなるため、無理のない範囲で環境を調節することが大切です。

生活全体を整えることで、再発の予防や治療効果の向上にもつながります。

心療内科の初診で聞かれる内容

心療内科の初診では、以下のような内容が聞かれることが多いです。

  • どのような症状がいつから始まったか
  • 思い当たるような原因はあるか
  • これまでの病歴について
  • 食欲について
  • 生活リズムについて
  • 普段飲んでいる薬について
  • 他院に通院しているか
  • 現在の生活環境について

このほか、仕事や家族、人間関係などについて質問される場合もあります。

「言葉に詰まってしまうかもしれない」と不安に感じる場合は、上記の内容について話すことをメモにまとめておくとよいでしょう。

話したくないことは無理に話す必要はないため、無理のない範囲で会話をしてみてください。

心療内科に関するよくある質問

心療内科に関するよくある質問をまとめました。

  • 心療内科の受診の流れは?
  • 心療内科の初診で準備しておくことはある?
  • 心療内科の受診にかかる費用はどれくらい?
  • 心療内科と精神科どちらを受診すべき?

ここでは上記4つの質問についてそれぞれ解説します。

心療内科の受診の流れは?

心療内科の初診の時の流れは以下の通りです。

  1. 問診票の記入
  2. 医師による診察
  3. 検査
  4. 治療
  5. 会計

検査は身体検査と心理検査の2種類あり、医師が必要と判断した場合にのみ行われます。

また症状や治療に関して不安な点や気になる点があれば、診察時に医師に相談しましょう。

心療内科の初診で準備しておくことはある?

心療内科の初診で必ず準備しておくべきは特にありませんが、適切な治療を受けるためにも、初診で聞かれる内容についてメモしておくことをおすすめします。

先ほど解説した通り、以下のような内容をまとめておくとよいでしょう。

  • どのような症状がいつから始まったか
  • 思い当たるような原因はあるか
  • これまでの病歴について
  • 食欲について
  • 生活リズムについて
  • 普段飲んでいる薬について
  • 他院に通院しているか
  • 現在の生活環境について
  • 治療に関する質問・意見

上記の内容をあらかじめメモしておくことで、考えを整理でき、自分の悩みをより正確かつスムーズに伝えられるようになります。

心療内科の受診にかかる費用はどれくらい?

心療内科の受診は健康保険が適用されるため、基本的に自己負担3割の費用となります。

受診する病院によって異なりますが、おおまかな目安は以下の通りです。

  • 初診:3,000円~5000円程度
  • 再診:1,500円程度

上記に加え、検査代や処方箋料、カウンセリング代などが追加でかかる場合もあります。

TMS治療は健康保険が適用される場合と自由診療の場合があります。

心療内科と精神科どちらを受診すべき?

一般的には、体の不調がある場合は心療内科、心の不調がある場合は精神科の受診が推奨されます。

どちらを受診すべきか悩む場合は、心療内科と精神科の両方を併設している医療機関を選ぶのも一つの選択肢です。

医療機関のお問い合わせから直接相談してみるのもよいでしょう。

まとめ

心療内科は、ストレスや精神的な原因によって体に不調が現れたときに受診する診療科です。

主な対象疾患として軽症うつ病やパニック障害、自律神経失調症、睡眠障害などが挙げられます。

例えば腹痛や頭痛、不眠、食欲不振、倦怠感、疲労感、めまい・耳鳴りといった症状に悩んでいる場合には、心療内科の受診を検討しましょう。

金山駅から徒歩1分の精神科・心療内科『金山こころとねむりのクリニック』では、薬剤の使用を最小限に抑えた治療を行っています。また薬に頼らないTMS治療も自由診療で行っています。

臨床心理士、公認心理師が丁寧なカウンセリングを行っているため、上記のような症状にお悩みの方はぜひ受診をご検討ください。

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