睡眠時無呼吸症候群のいびきの特徴は?改善する方法について解説
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状として、睡眠中の無呼吸やいびきが挙げられます。
いびきをかく=睡眠時無呼吸症候群というわけではありませんが、慢性的にいびきをかいている場合は注意が必要です。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群のいびきの特徴について詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群のいびき以外の症状や原因、いびきを改善する方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が一時的に止まったり、浅くなったりする病気です。
この状態が一晩に何度も繰り返されることで、脳や身体が十分な酸素を得られず、睡眠の質が大きく低下します。
日中の強い眠気や集中力の低下、疲労感、さらには高血圧や心疾患、脳卒中などのリスクも高まることが知られています。
ここでは睡眠時無呼吸症候群の定義や3つのタイプについて解説しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の定義
睡眠時無呼吸症候群は、「睡眠中に10秒以上の無呼吸(呼吸停止)が一晩に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上発生する状態」と医学的に定義されています。
この「無呼吸」は、気道が物理的に塞がれるか、呼吸をつかさどる脳の指令が乱れることによって起こります。
無呼吸の頻度や重症度によって軽度・中等度・重度に分類され、特に重度になると1時間あたり30回以上の無呼吸が確認されることもあるのです。
睡眠中の無呼吸によって深い睡眠が妨げられるため、たとえ長時間眠ったとしても、朝の疲労感や日中の眠気が残るといった症状が出やすくなります。
睡眠中の無呼吸・低呼吸が発生する場合には、なるべく早めに検査を受け、適切な診断と治療を受けることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群の3つのタイプ
睡眠時無呼吸症候群は、大きく分けて3つのタイプに分類されます。
種類 | 特徴 |
---|---|
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 | 気道が舌や喉の筋肉の弛緩によって物理的に塞がれることにより発症する |
中枢性睡眠時無呼吸症候群 | 脳から呼吸の指令がうまく伝わらず、呼吸そのものが止まってしまう状態 |
混合型睡眠時無呼吸症候群 | 上記2つが同時に起こるタイプ |
タイプによって症状の原因や治療方法が異なるため、専門的な検査を受け、正確な診断を受けることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群のいびきの特徴
睡眠時無呼吸症候群のいびきの特徴は4つ挙げられます。
- 慢性的にいびきをかいている
- 朝までいびきがひっきりなしに続く
- 仰向け以外の姿勢ではいびきが小さくなる
- いびきの音が変化し、呼吸が止まることがある
特徴的なのは、一定のリズムで続く通常のいびきとは異なり、「大きないびきが突然止まる」「無音の時間が数秒から数十秒続く」「その後、あえぐように呼吸が再開される」といったパターンです。
この無音の時間こそが無呼吸の瞬間であり、繰り返し起こることで睡眠の質が低下し、体に負担をかけます。
またいびきは体位によっても変化し、仰向けで特に強く現れる傾向があります。
家族や同室の人から「いびきが止まって苦しそうにしている」「いびきと呼吸の止まり方が不自然」と指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。
睡眠時無呼吸症候群のいびき以外の症状
睡眠時無呼吸症候群の症状は、いびきだけにとどまりません。
実際には睡眠中や起床時、さらには日中にかけてもさまざまな身体的・精神的な不調が現れます。
ここでは睡眠時・寝起き・日中に現れるそれぞれの症状について解説します。
睡眠時の症状
睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、夜間の睡眠中に現れます。
代表的なのは、繰り返される無呼吸や低呼吸により、睡眠が何度も中断されることです。
「夜中にトイレに何度も起きる」「寝汗を大量にかく」「息苦しさで目が覚める」といった症状に悩む方も少なくありません。
また無呼吸の際に酸素飽和度が低下し、体が危機的状況と判断して覚醒反応を起こすことで、心拍数や血圧も変動しやすくなるのも特徴です。
このような症状によって睡眠の質が低下することで、寝起きや日中にもさまざまな症状が現れます。
寝起きの症状
睡眠時無呼吸症候群の人は、十分な時間寝ているつもりでも「スッキリ起きられない」「疲れが取れない」といった寝起きの不快感を抱えることが多いです。
特に起床時の頭痛は典型的な症状の一つで、夜間の酸素不足や睡眠の質の低下が原因とされています。
また口の乾きもよく見られ、これは無呼吸の間に口呼吸が多くなるためです。
さらに寝汗を大量にかいたり、心臓がドキドキしたりするような状態で目覚める人もいます。
こうした寝起きの症状は単なる疲労や寝不足と見過ごされがちですが、日常的に続くようであれば睡眠時無呼吸症候群を疑うべきでしょう。
日中の症状
日中の強い眠気は、睡眠時無呼吸症候群の最も代表的かつ深刻な症状です。
仕事中や会話中、運転中など本来眠ってはいけない場面で、意識を失うように眠ってしまうのは重大な事故やミスにもつながりかねません。
また集中力や記憶力の低下、イライラ、不安感、抑うつ気分など、精神面にも悪影響を及ぼします。
これらの症状が重なると、社会生活や家庭生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。
日中の不調が続くときは、夜間の睡眠に原因があるかもしれないと疑ってみることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因
睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因として、以下の4つが挙げられます。
- 肥満
- 頭や顎の形
- 性別
- 年齢
ここでは上記4つの原因についてそれぞれ解説します。
肥満
睡眠時無呼吸症候群を引き起こす大きな原因の一つとして、肥満が挙げられます。
特に首や喉周りに脂肪がつくと、気道が狭くなりやすくなり、眠っている間に空気の通り道が塞がれて無呼吸が起こります。
減量により症状が軽減されるケースも少なくありません。
頭や顎の形
顔や顎の骨格も、睡眠時無呼吸症候群の発症に関わる重要な要因です。
特に顎が小さい、もしくは後ろに引っ込んでいるような骨格の場合、舌や軟口蓋が気道を塞ぎやすくなります。
また鼻中隔湾曲や扁桃肥大といった構造的な問題も、気道を狭める原因となります。
性別
性別も睡眠時無呼吸症候群の発症率に影響します。
一般的に男性の方が女性よりも発症しやすい傾向があり、その理由は気道周囲の筋肉や脂肪の付き方、ホルモンバランスの違いなどにあります。
ただし女性も閉経後にはホルモンバランスの変化によってリスクが上昇するとされているため、注意が必要です。
年齢
年齢も睡眠時無呼吸症候群の発症に関わる要因の一つです。
加齢とともに筋肉が衰えることで、気道を支える力が弱くなり、喉の奥が塞がれやすくなります。
また舌や軟口蓋の筋肉も緩みやすくなり、睡眠中に気道が閉塞しやすくなるのです。
高齢になるほど発症率が高まる傾向があり、年齢に応じた健康管理と検査が重要になります。
睡眠時無呼吸症候群のいびきを改善する方法
睡眠時無呼吸症候群のいびきを改善する方法は以下の通りです。
- CPAP療法
- マウスピース療法
- 減量
- 舌出し運動
- 舌筋トレーニング
- 節酒
- 禁煙
- 寝姿勢の改善
- 口呼吸の改善
ここでは上記9つの改善方法についてそれぞれ解説します。
CPAP療法
CPAP療法は、睡眠時無呼吸症候群の治療において効果が高いとされる方法です。
専用の機械を使って鼻にマスクを装着し、一定の空気圧をかけることで気道の閉塞を防ぎ、無呼吸やいびきを改善します。
多くの患者さんで症状の改善が期待できる一方、毎晩の使用やマスクの違和感に慣れる必要があります。
中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群に特に推奨され、保険適用も可能な治療方法です。
マウスピース療法
マウスピース療法は、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群に適した治療法です。
就寝時に専用のマウスピースを装着し、下あごを前方に固定することで気道を広げ、いびきや無呼吸の発生を抑えます。
装置は歯科での作製が必要ですが、CPAPに比べて装着感が軽く、携帯性にも優れています。
ただし歯並びや顎関節に問題がある場合は使用できないこともあるため、歯科での相談が必要です。
減量
肥満は気道の狭窄を引き起こしやすく、睡眠時無呼吸症候群の主な原因とされています。
そのため減量をすることで、いびきや無呼吸の改善が期待できます。
特に首や喉周りの脂肪を減らすことで、睡眠中の気道閉塞のリスクが軽減されるでしょう。
無理な減量は体調を崩す原因となるため、必要に応じて医師や専門家の指導のもとで取り組むことが大切です。
舌出し運動
舌出し運動は、睡眠時無呼吸症候群の原因の一つである舌の筋力低下を防ぐトレーニングです。
舌を口の外へまっすぐに突き出し、1回15秒程度そのままキープする動作を1日に数回繰り返すことで、舌の筋肉が鍛えられ気道の閉塞を予防します。
特に睡眠中に舌が喉の奥に落ち込みやすい人にとっては、手軽で効果的な対策となります。
特に副作用もないため取り入れやすい方法です。
舌筋トレーニング
舌や口周りの筋肉を鍛える舌筋トレーニングは、舌出し運動と合わせて行いたい無呼吸症候群の改善方法です。
例えば舌を上あごに押し付ける、舌を左右上下に動かすといった運動を毎日行うことで、気道が保たれやすくなります。
これにより舌の落ち込みが減少し、いびきや無呼吸の頻度が低下する可能性があります。
器具や薬を使わずにできるため、睡眠時無呼吸症候群の予防や軽度の症状に特におすすめです。
節酒
睡眠時無呼吸症候群のいびきを改善する方法として、節酒が挙げられます。
アルコールには筋肉を弛緩させる作用があり、就寝前の飲酒をすると、舌や喉の筋肉が緩みやすくなることで気道が塞がれやすくなります。
その結果、いびきや無呼吸の頻度が増える原因となります。
特に深酒や寝酒の習慣がある人は、症状が悪化しやすく注意が必要です。
節酒または禁酒により気道の確保がしやすくなり、睡眠の質の改善にもつながります。
禁煙
睡眠時無呼吸症候群のいびき改善には、禁煙が効果的です。
喫煙は気道の粘膜を刺激して炎症を引き起こし、腫れやすくすることで気道を狭めてしまいます。
その結果いびきが悪化し、睡眠時無呼吸症候群の症状も悪化する傾向があります。
また喉や鼻の粘液分泌も増え、空気の通りが悪くなり、無呼吸のリスクが高まってしまうため注意が必要です。
禁煙することでこうした炎症の改善が期待でき、気道の通りもよくなるため、いびきの軽減につながります。
寝姿勢の改善
寝姿勢の改善も、いびきや無呼吸の症状軽減に役立ちます。
特に仰向けで寝ると舌が重力によって喉の奥に落ち込みやすく、気道が塞がれやすくなります。
これを防ぐためには、横向きで寝るのが効果的です。
抱き枕を使用したり背中にクッションを当てたりと、自然に横向きで眠れる工夫をすると良いでしょう。
自分に合った寝具選びも含め、日頃の寝姿勢を見直してみてください。
口呼吸の改善
口呼吸は睡眠中に喉が乾燥しやすくなり、粘膜の炎症や気道の狭窄を引き起こす原因になります。
その結果いびきが悪化し、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まってしまうのです。
鼻呼吸を促すためには、鼻呼吸テープや鼻腔拡張テープなどを使用する方法が効果的です。
また口腔筋トレーニングを併用することで口周りの筋肉が鍛えられ、自然と口を閉じて眠れるようになることもあります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群のいびきは、通常のいびきとは異なり、「大きないびきが突然止まる」「無音の時間が数秒から数十秒続く」「その後、あえぐように呼吸が再開される」といったパターンが特徴的です。
このような異常ないびきがみられる場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いため、なるべく早めに医療機関を受診することをおすすめします。
またいびきを改善するためには、減量や節酒、禁煙、寝姿勢の改善、口呼吸の改善なども効果的です。
治療と並行して行えるため、ぜひ今日から実践してみてください。
『金山こころとねむりのクリニック』では、睡眠時無呼吸症候群の検査と治療に対応しています。
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