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睡眠時無呼吸症候群の治し方は?自分でできる対処法と病院での治療方法を解説

[2025.06.11]

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。

自力での完治は難しいとされており、病院での治療方法にはCPAP療法やマウスピース療法、手術療法などがあります。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の治し方について詳しく解説します。

睡眠時無呼吸症候群の症状や症状を軽減するための対処方法、病院での検査・治療方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりする病気です。

この状態が繰り返されることで、十分な睡眠が取れず、日中の強い眠気や集中力の低下などの症状が現れます。

代表的なタイプは、気道が物理的に塞がれる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」で、肥満や加齢、首まわりの脂肪の増加などが主な原因とされます。

無呼吸が繰り返されることで血中の酸素濃度が低下し、心臓や脳への負担が増えるため、高血圧や心疾患、脳卒中のリスクも高まるため注意が必要です。

自覚症状が少ない場合も多く、家族などの指摘で気づくことが多いため、いびきがひどい、眠っても疲れが取れないなどの症状がある場合は、早めの検査・治療が重要です。

ここでは睡眠時無呼吸症候群の主な症状や原因について解説します。

睡眠時無呼吸症候群の主な症状

睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状は、睡眠中の激しいいびきや呼吸の停止などです。

本人は無自覚なことが多く、家族が「息が止まっていた」「いびきが急に止まっては再開する」などと指摘することで気づく場合があります。

また夜間の頻尿、起床時の頭痛、口の渇きもよく見られる症状です。

さらに睡眠の質が著しく低下するため、日中に強い眠気を感じたり、仕事や運転中に眠ってしまうこともあります。

これが原因で交通事故や作業ミスなどの重大な問題につながることもあります。

また集中力や記憶力の低下、気分の落ち込みやイライラなどの精神的な影響も無視できません。

症状が進行すると生活の質が大きく損なわれるため、少しでも思い当たる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

睡眠時無呼吸症候群の主な原因

睡眠時無呼吸症候群の主な原因のひとつは、上気道(鼻や喉の奥)が狭くなることです。

特に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」の場合、舌や軟口蓋、喉の筋肉が緩むことで空気の通り道が塞がれ、呼吸が一時的に止まってしまいます。

肥満の人は首まわりの脂肪が気道を圧迫しやすく、無呼吸のリスクが高まります。

また顎が小さい、扁桃腺が大きい、鼻づまりがあるなどの身体的特徴も原因になることがあり、さらにアルコールや一部の睡眠薬の使用も筋肉を緩める作用によって気道が塞がれやすくなるため注意が必要です。

原因は一つではなく複数の要素が重なっていることが多いため、総合的な視点から原因を把握し、適切な対処を行うことが大切です。

睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減する対処方法

睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減するためには、生活習慣の見直しが非常に重要です。

特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群の多くは、気道の閉塞が原因であるため、そのリスクを減らす工夫が求められます。

睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減する対処方法は以下の5つです。

  • 適正体重を維持する
  • 寝酒をやめる
  • 禁煙する
  • 睡眠中の姿勢を改善する
  • 睡眠薬を服用する

ここでは上記5つの対処方法についてそれぞれ解説します。

適正体重を維持する

肥満は睡眠時無呼吸症候群の大きなリスク要因のひとつです。

特に首や喉まわりに脂肪が蓄積すると、睡眠中に気道が圧迫されやすくなり、無呼吸の発生頻度が高まります。

適正体重を維持することで、気道の閉塞を予防し、呼吸の流れをスムーズに保つことができます。

特にBMI(体格指数)を適正範囲内に保つことが望ましく、標準体重を目指す食事管理や運動習慣を身につけることが効果的です。

BMIと適正体重は以下の計算式で求められます。

  • BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
  • 適正体重 = (身長m)2 ×22

急激なダイエットではなく、バランスのとれた食生活やウォーキングなどの有酸素運動を継続的に行うことがポイントです。

減量によっていびきが軽減し、日中の眠気や疲労感も緩和されるケースが多く、健康全般にも良い影響を与えます。

必要に応じて医師や栄養士のアドバイスを受けながら、無理なく取り組みましょう。

寝酒をやめる

「寝酒をすると眠りにつきやすい」と感じる人もいますが、実際には睡眠の質を大きく低下させ、睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させる要因になります。

アルコールには筋肉を弛緩させる作用があるため、喉や舌の筋肉も緩んで気道が塞がれやすくなり、無呼吸のリスクが高まるのです。

またアルコールの影響で睡眠が浅くなったり、中途覚醒が増えたりするため、疲れが取れにくくなることもあります。

睡眠の質を向上させるには、就寝前の飲酒を控えることが大切です。

習慣的に寝酒をしている人は、代わりにリラックスできるハーブティーや読書など、健全な入眠ルーティンに置き換えるのもおすすめです。

禁煙する

喫煙も睡眠時無呼吸症候群を悪化させる大きな要因のひとつです。

タバコに含まれる有害物質は気道の炎症を引き起こし、粘膜の腫れや分泌物の増加によって気道が狭くなります。

その結果、空気の通り道が塞がれやすくなり、睡眠中の呼吸障害を招きやすくなるのです。

さらに喫煙はいびきを悪化させるだけでなく、酸素の運搬能力にも悪影響を与えるため、睡眠の質そのものにも悪い影響を及ぼします。

禁煙することで気道の炎症が改善され、無呼吸の発生頻度を抑える効果が期待できるでしょう。

また禁煙は心肺機能の向上や高血圧、心疾患などのリスク低減にもつながり、総合的な健康の改善にも影響します。

禁煙外来やニコチンパッチなどを活用することで、無理なく禁煙しやすくなります。

睡眠中の姿勢を改善する

睡眠時の姿勢は、無呼吸の発生に大きな影響を与える要因のひとつです。

仰向けで寝ると、舌や軟口蓋が重力によって喉の奥へと落ち込み、気道を塞ぎやすくなります。

これにより呼吸が一時的に止まったり、いびきが悪化することがあります。

横向きに寝ることで、気道の閉塞を防ぎ、呼吸がスムーズに行える状態を保つことが可能です。

横向き寝を習慣化するためには、体の横にクッションや抱き枕などを置いて姿勢を安定させるとよいでしょう。

また枕の高さも重要で、首が自然に伸びた状態を保てるような高さに調整することで、気道の確保につながります。

姿勢の工夫だけでも無呼吸の回数が大幅に減少する場合があるため、今日からぜひ試してみてください。

睡眠薬を服用する

一般的に睡眠薬には筋肉を弛緩させる作用があるため、気道を支えている喉の筋肉もゆるみやすくなり、無呼吸のリスクが高まります。

服用する薬の種類によっては、気道の閉塞が起こりやすくなるだけでなく、無呼吸の持続時間が長くなるケースもあるため注意が必要です。

ただしどうしても不眠が続いて睡眠不足が悪化するような場合には、医師の指導のもとで安全なタイプの睡眠薬を処方してもらうことが可能です。

自己判断で市販薬を使用するのではなく、必ず専門医に相談しながら服用しましょう。

また睡眠薬に頼らず自然な入眠を目指すために、寝る前のリラックス習慣や睡眠環境の見直しも並行して行うことが望ましいです。

睡眠時無呼吸症候群は自力での完治は難しい

睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣の見直しで症状を軽減することが可能ですが、完全に治すのは難しい病気です。

特に気道の構造に問題がある場合や、重度の無呼吸があるケースでは、生活改善だけでは十分な効果が得られないことがあります。

また本人に自覚がないまま放置されると、高血圧や心疾患、脳卒中などの合併症を引き起こすリスクもあるため、専門医による診断と治療が必要です。

治療法にはCPAP療法やマウスピース療法、手術療法などがあり、個人の状態に合わせたアプローチが重要になります。

睡眠時無呼吸症候群の検査方法

睡眠時無呼吸症候群の診断には、専門的な検査が必要となります。

主な検査方法は「簡易検査」と「精密検査」の2種類です。

ここでは上記2種類の検査についてそれぞれ解説します。

簡易検査

簡易検査は自宅で実施できるのが特徴で、「アプノモニター」という小型の医療機器で睡眠中の呼吸状態や血液中の酸素飽和度などを計測します。

病院で機器を受け取って帰宅し、検査後に返却して解析を受ける流れ、もしくは機器を郵送でやり取りする方法が一般的です。

体への負担が少なく、入院の必要もないため、気軽に受けられる検査として初診時に勧められることが多いです。

ただし脳波や筋電図などは測定しないため、正確な診断には限界があり、異常が認められた場合は次の段階である精密検査を要する場合があります。

精密検査:終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)は、睡眠時無呼吸症候群の確定診断と重症度の判定に用いられる精密な検査です。

検査は医療機関内の専用施設で一泊して行い、脳波・眼球運動・心電図・呼吸・いびき・筋電図・酸素飽和度など、さまざまな項目を同時に記録します。

検査を受ける医療機関により異なりますが、自宅で精密検査を受けられる場合もあります。

これにより無呼吸の回数や継続時間、睡眠の質、身体への影響などを総合的に把握することが可能です。

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)は簡易検査ではわからない細かい異常の発見にもつながるため、正確な診断と適切な治療法の選択において極めて重要です。

検査自体は痛みがなく、安全に受けることができます。

重度の睡眠障害が疑われる場合には、早めに精密検査を受けることが勧められます。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法

睡眠時無呼吸症候群の治療方法として、以下の4つが挙げられます。

  • CPAP療法
  • マウスピース療法
  • 手術療法
  • 生活習慣の改善

ここでは上記4つの治療方法についてそれぞれ解説します。

CPAP療法

CPAP療法は、中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群に対して最も効果的とされる治療方法です。

就寝時に専用のマスクを鼻や口に装着し、機械を通じて気道に一定の空気を送り込むことで、気道が閉じるのを防ぎます。

これにより無呼吸やいびきの回数が大幅に減少し、睡眠の質が向上するという治療方法です。

治療を継続することで、日中の眠気や集中力の低下、さらには高血圧や心疾患などのリスクも軽減されます。

機器に慣れるまでに多少の時間がかかる場合もありますが、個別に圧力を調整することで快適さを高めることが可能です。

効果が高いため、医師による診断で適応が認められた場合は積極的に導入されます。

マウスピース療法

マウスピース療法は、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群に適している治療方法です。

就寝時に専用のマウスピースを装着することで、下あごを前方に固定し、気道が狭くなるのを防ぎます。

この装置は歯科医院で個人の歯型に合わせて作られるため、フィット感がよく、違和感も少なく済むのが特徴です。

CPAP療法ほどの強力な効果はありませんが、持ち運びがしやすく、旅行や出張先でも使える手軽さがあります。

ただし歯並びや顎関節に問題がある場合は使用が難しいこともあるため、導入には歯科医師との十分な相談が必要です。

継続的な使用と定期的な調整によって、症状の緩和や生活の質の向上が期待できます。

手術療法

手術療法は、気道の構造的な問題が原因で睡眠時無呼吸が生じている場合に検討される治療方法です。

具体的には扁桃の肥大、鼻中隔の湾曲、軟口蓋の過剰なたるみなどがあると、気道が狭くなりやすくなります。

これらを解消するために扁桃摘出術や鼻の手術、または軟口蓋の切除・再構成手術などが行われます。

手術は一度の処置で根本的な改善が見込まれる点が魅力ですが、必ずしも全ての患者さんに適応されるわけではありません。

術後に痛みや違和感を伴う場合もあり、術式によっては再発のリスクも存在します。

そのため、手術を選択する際は効果とリスクを十分に理解し、医師と慎重に相談することが大切です。

生活習慣の改善

睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減するには、治療と並行して生活習慣の見直しも欠かせません。

改善すべき具体的なポイントとして、以下が挙げられます。

  • 適正体重の維持
  • 寝酒を控える
  • 禁煙する
  • 横向きに寝る

軽度の場合は、これらの改善のみで症状が大幅に軽減されることもあります。

節酒や禁煙は健康にも良い影響を与えるため、治療の一環として積極的に取り組みましょう。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減する方法として、適正体重の維持や寝酒をやめる、禁煙する、睡眠中の姿勢を改善するなどが挙げられます。

症状が軽度であればこのような対策で症状が大幅に軽減されることもあります。

しかし睡眠時無呼吸症候群は自力での完治が難しい病気でもあるため、上記のような方法では改善がみられない場合は早めに医療機関を受診しましょう。

金山こころとねむりのクリニック』では、睡眠時無呼吸症候群の診療に対応しています。

診断のための検査、CPAP療法も行っているため、睡眠時無呼吸症候群の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

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