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むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは?主な症状・原因・治療方法について解説

[2025.06.11]

夕方から夜間にかけて脚に違和感や不快な感覚が現れる場合、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)という病気の可能性が考えられます。

「虫が這っているような感覚」「脚がむずむずする」「落ち着かない」など、症状の感じ方は人それぞれです。

この記事では、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)について詳しく解説します。

むずむず脚症候群の主な原因や間違われやすい病気・症状、治療方法、よくある質問などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、脚に不快な症状が現れる病気です。

脚の不快な症状から脚を叩いたり何度も寝返りをしたりする患者さんが多いです。

ここではむずむず脚症候群の主な症状や診断基準について詳しく解説します。

むずむず脚症候群の主な症状

むずむず脚症候群は、じっとした姿勢や横になっているときに脚に以下のような症状が現れます。

  • むずむずする
  • じっとしていられない
  • かゆい
  • ピンでなぞられているような感覚
  • 針で刺すような感覚
  • 火照るような感覚
  • 虫が這っているような感覚

患者さんによって訴える症状は異なりますが、脚に不快な症状が現れるのが特徴です。

さらにむずむず脚症候群は夕方から夜にかけて症状が強くなるのが特徴で、時間帯によって症状の強さが変化します。

症状が悪化すると、昼間にも不快な症状が現れる場合もあります。

むずむず脚症候群の診断基準

以下の4つの診断基準をすべて満たしている場合、むずむず脚症候群と診断されます。

  • 不快な下肢の異常感覚に伴い、脚を動かしたいという欲求が起こる
  • 静かに横になったり座ったりしている状態で異常感覚が現れる、あるいは悪化する
  • 歩いたり下肢を伸ばしたりといった運動によって異常感覚が改善される
  • 日中よりも夕方から夜間にかけて異常感覚が現れる、あるいは悪化する

むずむず脚症候群で生じる不快な感覚は、脚の表面ではなく筋肉の奥の方に生じる特徴があり、さらに両脚に起こる場合が多いです。

脚に感じる違和感にもさまざまな種類がありますが、脚を動かしたいという感覚がない場合(痛みのみの場合など)は、他の病気の可能性があります。

自己診断せず、病院で正確な診断を受けましょう。

むずむず脚症候群の主な原因

むずむず脚症候群の主な原因は以下の通りです。

  • ドパミン機能障害
  • 鉄代謝異常
  • 遺伝的要因
  • 尿毒症・慢性腎臓病
  • 妊娠
  • 精神疾患
  • うつ病・不安神経症

ここでは上記8つの原因についてそれぞれ解説します。

ドパミン機能障害

ドパミンは中枢神経系で重要な働きをする神経伝達物質です。

むずむず脚症候群では、このドパミンの働きが低下している、または不安定である可能性があると考えられているのです。

ドパミンの働きが乱れることで、脚を動かしたいという衝動が生まれやすくなり、特に夜間や安静時に症状が強く出る傾向があります。

このため、ドパミンに作用する薬が治療に用いられることもあります。

鉄代謝異常

鉄は脳内でドパミンを合成・代謝するのに必要不可欠なミネラルです。

むずむず脚症候群では、血中の鉄濃度が正常でも脳内の鉄濃度が低下していることがあります。

このような鉄代謝の異常により、ドパミンの働きが不十分となり、症状が引き起こされると考えられています。

そのため、鉄剤の補充や食事での鉄分摂取が治療の一環として行われる場合もあります。

遺伝的要因

むずむず脚症候群には遺伝的な要因も関与しているとされ、家族に同じ症状のある人がいる場合は、発症のリスクが高まるため注意が必要です。

遺伝子解析の研究では、いくつかの特定の遺伝子がこの症状と関連していることが報告されています。

また遺伝的要因による発症は、比較的若年で症状が現れることが多く、生涯にわたり症状が続く傾向があります。

尿毒症・慢性腎臓病

むずむず脚症候群は、尿毒症や慢性腎臓病などの腎機能障害を持つ人に多く見られる病気です。

これは腎臓の働きが低下することで、体内の老廃物が適切に排出されず、神経系に悪影響を及ぼすためと考えられています。

また腎機能障害によって鉄の吸収や利用が妨げられることも関係しており、鉄欠乏によるドパミン機能の低下がむずむず脚症候群の発症に影響することがあります。

妊娠

妊娠中にむずむず脚症候群の症状が出る女性は少なくありません。

これは妊娠によってホルモンバランスが大きく変化し、鉄分の需要が増すことで脳内の鉄濃度が低下しやすくなるためです。

さらに胎児の成長に伴って血流や代謝が変化することも影響しています。

ほとんどの場合、出産後には自然に症状が軽減または消失することが多いですが、症状が強い場合は医師に相談して適切な治療を行うことが大切です。

精神疾患

むずむず脚症候群は、うつ病や不安障害、双極性障害などの精神疾患を持つ人にも多く見られます。

これらの疾患では脳内の神経伝達物質が不安定になりやすく、ドパミンの機能が乱れることでむずむず脚症候群の原因となることがあるのです。

精神状態と神経の働きは密接に関係しているため、精神疾患のコントロールも症状の改善につながる可能性があります。

薬剤

特定の薬剤がむずむず脚症候群を引き起こす、または悪化させることがあります。

一部の抗うつ薬、抗精神病薬、制吐薬などはむずむず脚症候群の症状を誘発する可能性があるのです。

こうした薬による影響が疑われる場合には、医師と相談し、別の薬への変更や服用時間の調整などの対策が必要になる場合もあります。

むずむず脚症候群と間違われやすい病気・症状

むずむず脚症候群と間違われやすい病気・症状として、以下が挙げられます。

  • 周期性四肢運動障害
  • 脊髄症・神経根症・末梢神経障害
  • 不眠症
  • こむら返り
  • アカシジア

ここでは上記6つの病気・症状についてそれぞれ解説します。

周期性四肢運動障害

周期性四肢運動障害は、睡眠中に無意識のうちに脚や腕が繰り返しぴくつくように動く病気で、むずむず脚症候群と混同されることがあります。

特にどちらも睡眠障害を伴うことが多いため、症状だけで判断すると区別が難しいです。

しかし周期性四肢運動障害は自分で不快感を感じて動かすわけではなく、無意識のうちに脚が動く点が特徴です。

脊髄症・神経根症・末梢神経障害

むずむず脚症候群と似たような脚のしびれや不快感を伴う神経系の病気として、脊髄症、神経根症、末梢神経障害があります。

これらの病気は神経の圧迫や損傷によって痛みやしびれが生じるため、下肢に症状が出現した場合はむずむず脚症候群と混同されやすいです。

ただし神経障害による症状は特定の姿勢で悪化したり、痛みが強かったりする点で異なります。

またむずむず脚症候群は不快感が脚の内部に生じますが、上記のような神経系の病気は脚の表面にも痛みや不快感が感じられます。

脚の表面にも症状が現れる場合は、これらの病気が疑われるでしょう。

不眠症

不眠症は眠ろうとしても寝つけない、途中で目が覚める、熟睡感が得られないなどの睡眠障害です。

むずむず脚症候群も夜間に強い不快感で眠れなくなるため、不眠症と間違われやすいです。

しかし不眠症は必ずしも身体の違和感が原因で起こるわけではありません。

一方でむずむず脚症候群は、脚に特有の不快な感覚が現れ、動かすことで一時的に緩和するという特徴があります。

このような身体症状の有無を確認することで、不眠症と区別することが可能です。

こむら返り(有痛性筋痙攣)

こむら返りは、ふくらはぎなどの筋肉が急激に痙攣し、激しい痛みを伴う症状です。

就寝中に起こることが多く、むずむず脚症候群と同じく夜間の下肢の不快症状として混同されることがあります。

ただしこむら返りは突然の激しい痛みが短時間だけ持続するのに対し、むずむず脚症候群は持続的で、痛みというよりも「むずむず」「ぞわぞわ」といった感覚が特徴です。

またむずむず脚症候群では脚を動かすことで症状が軽減する点でも異なります。

アカシジア

アカシジアは抗精神病薬や一部の抗うつ薬の副作用として現れることが多い症状で、「じっとしていられない」「体を動かしていないと落ち着かない」といった強い不快感を伴います。

むずむず脚症候群と同様に「動きたい衝動」が出る点で混同されやすいですが、アカシジアは脚に限らず全身に症状が広がることがあります。また症状が時間帯に関係なく出現することが多いのが特徴です。

原因となる薬剤の有無や症状の部位、発症のタイミングを見極めることが重要です。

むずむず脚症候群の治療方法

むずむず脚症候群の主な治療方法は以下の2つです。

  • 生活習慣の改善
  • 薬物療法

ここでは上記2つの治療方法についてそれぞれ解説します。

生活習慣の改善

むずむず脚症候群の主な治療方法として、生活習慣の改善が挙げられます。

具体的な改善方法は以下の通りです。

  • カフェイン・アルコール・喫煙を控える
  • 鉄分を十分に摂取する
  • バランスの良い食事を心がける
  • ストレッチやマッサージを習慣にする

特にカフェイン・アルコール・喫煙はむずむず脚症候群の症状を悪化させる原因となるため、治療中は控えましょう。

また鉄分の不足によって症状が現れる場合もあるため、鉄分を十分に摂取したりバランスの良い食事を心がけることも大切になります。

上記のほか、規則的な就寝・起床や適度な運動、体重管理といった健康に良い生活を心がけることも、むずむず脚症候群の治療に有効です。

薬物療法

生活習慣の改善で効果が不十分だった場合は、薬物療法が行われます。

主に処方される治療薬の種類は以下の通りです。

  • ドパミン作動薬:ドパミン機能の働きを改善する
  • 抗てんかん薬:神経細胞の興奮を鎮静する
  • 鉄剤:鉄分を補給する

上記の治療薬にはそれぞれ副作用があるため、医師の説明をきちんと聞いておきましょう。

むずむず脚症候群に関するよくある質問

むずむず脚症候群に関するよくある質問をまとめました。

  • むずむず脚症候群の受診目安は?
  • むずむず脚症候群は何科を受診すべき?
  • むずむず脚症候群の検査方法は?
  • むずむず脚症候群と合併しやすい病気はある?

ここでは上記4つの質問についてそれぞれ解説します。

むずむず脚症候群の受診目安は?

むずむず脚症候群の受診目安となる症状は以下の通りです。

  • 脚がむずむずしてなかなか眠れない
  • 睡眠不足で日中に疲労感・倦怠感が生じている
  • イライラしやすくなった
  • 手や背中、腹部がむずむずする
  • 脚に痛みがある

上記のような症状が現れており、日常生活に支障をきたしている場合、早めに医療機関を受診しましょう。

むずむず脚症候群は何科を受診するべき?

むずむず脚症候群と思われる症状がある場合は、神経内科や精神科・心療内科を受診しましょう。

病院で検査をすることで、適切な診断・治療が受けられます。

むずむず脚症候群と併発しがちな睡眠に関するお悩みも、上記の診療科で相談可能です。

むずむず脚症候群の検査方法は?

むずむず脚症候群の検査方法は、主に以下の3つが挙げられます。

  • 問診:自覚症状や生活への支障の把握
  • 血液検査:鉄欠乏を計測する
  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG):周期性四肢運動障害の合併がみられる場合に行う

基本的には問診や血液検査が行われますが、典型的なむずむず脚症候群の症状ではないケースや治療薬が効きにくいケースには、精査のために終夜睡眠ポリソムノグラフィ検査が行われることがあります。

むずむず脚症候群と合併しやすい病気はある?

むずむず脚症候群と合併しやすい病気として、周期性四肢運動障害が挙げられます。

またむずむず脚症候群は高血圧や心血管疾患の発症リスクにもかかわっているとされているため、注意が必要です。

まとめ

むずむず脚症候群とは、脚の内部に不快感が生じる病気です。

主な原因としてはドパミン機能障害や鉄代謝異常、遺伝的要因、慢性腎臓病などが挙げられます。

またむずむず脚症候群は似たような病気・症状がいくつかあるため、病院で適切な診断・治療を受けることをおすすめします。

金山こころとねむりのクリニック』は、うつ病や不眠症、適応障害といったさまざまな病気の治療に対応しています。

不眠の原因になり得るむずむず脚症候群の診療も行っているため、気になる症状がある方は気軽にご相談ください。

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