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不眠症の原因は?不眠の対策・予防・治療方法も解説

[2025.06.10]

不眠症は夜寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりする病気です。

不眠症の原因はさまざまで、心理的要因や身体的要因、生理的要因、薬理学的要因、精神医学的要因などが挙げられます。

この記事では、不眠症の原因について詳しく解説します。

不眠症の対策・予防方法や治療方法などもまとめているため、不眠症状にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

不眠症とは

不眠症とは、寝つきが悪い、睡眠中に目が覚めて再び眠れない、早朝に目覚めてしまう、眠りが浅く熟睡感が得られないといった症状が起こる睡眠障害です。

こうした症状が続くと、日中の集中力低下やイライラ、記憶力の低下など、日常生活に支障をきたすようになります。

不眠は一時的なストレスや環境の変化で起こることもありますが、慢性的に続く場合には病院での治療が必要になることがあります。

ここでは不眠症の定義や種類について解説します。

不眠症の定義

不眠症の定義は、「睡眠の開始や維持、あるいは睡眠の質に関する困難が持続し、それによって日中の機能に悪影響が生じる状態」とされています。

つまり単に寝不足であるだけでは不眠症とはいえず、睡眠に関する問題が慢性的に起こり、それが生活の質に影響を与えていることがポイントです。

例えば夜なかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまうといった症状に加えて、日中に強い眠気がある、集中力が続かないなどの症状が現れます。

不眠症の種類

不眠症にはいくつかの種類があり、主に「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」に分類されます。

それぞれの特徴は以下の通りです。

  • 入眠障害:寝つきが悪く、布団に入ってもなかなか(30分~1時間以上)眠れない状態
  • 中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまい、再び眠るのが難しい状態
  • 早朝覚醒:予定よりかなり早い時間に目が覚め、そのまま眠れなくなる状態
  • 熟眠障害:眠っている時間は十分でも、眠りが浅く熟睡感が得られない状態

これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時に現れることもあります。

また、原因によっては一時的なものと慢性的なものがあり、それぞれ適切な対処が必要です。

不眠症の原因

不眠症の原因として、以下の5つが挙げられます。

  • 心理的要因
  • 身体的要因
  • 生理的要因
  • 薬理学的要因
  • 精神医学的要因

ここでは上記5つの原因についてそれぞれ解説します。

心理的要因

不眠症の中で最も多いとされるのが心理的要因によるものです。

仕事や家庭、人間関係におけるストレスが蓄積されると、自律神経のバランスが崩れ、眠りにつきにくくなります。

また悩みごとや将来への不安が頭から離れず、寝ようとすればするほど緊張して眠れなくなるケースもあります。

さらにうつ病や不安障害などの精神疾患が背景にあることも少なくありません。

こうした場合、寝つきの悪さだけでなく、夜中に目が覚める、早朝に目が覚めてしまうといった症状が出やすくなります。

心理的なストレスが慢性化すると、睡眠に対して不安を抱くようになり、それがさらに不眠を悪化させる悪循環を生み出してしまうこともあります。

H3. 身体的要因

身体的な不調が原因で不眠症を引き起こすことも多くあります。

例えば慢性的な痛みやかゆみ、呼吸がしづらくなるような呼吸器疾患、頻尿や排尿障害などは、睡眠を妨げる主な要因です。

特に夜間のトイレの回数が多い高齢者や、喘息やアレルギー症状を持つ人は、眠っている間に何度も目を覚ましやすくなります。

また消化器系の疾患や心臓病、神経疾患なども睡眠に影響を及ぼすことがあります。

加えて慢性的な痛みを伴う病気(関節リウマチや腰痛など)では、寝返りのたびに痛みで目が覚めるというケースも少なくありません。

これらの身体的な要因により、十分な睡眠時間を確保できても、質の高い睡眠が得られないことがあります。

生理的要因

生理的要因も不眠症の大きな原因の一つです。

例えば年齢とともに体内時計の調整機能が低下し、睡眠リズムが乱れやすくなることがあります。

高齢になると早寝早起きの傾向が強くなり、夜中や早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒型の不眠が増えるのもこのためです。

また夜勤や交代勤務などによる生活リズムの変化、海外旅行による時差ぼけも、体内時計がずれることで一時的な不眠を引き起こすことがあります。

さらに就寝前のスマートフォンやパソコンの使用、カフェインの摂取、明るい照明の使用も体を覚醒状態にしてしまい、寝つきを悪くする原因になります。

これらの生理的な要因は日々の生活習慣と深く関係しているため、意識的な見直しが重要です。

薬理学的要因

不眠症の原因の一つとして、服用している薬の副作用が関与しているケースがあります。

これを薬理学的要因といい、特定の薬剤が中枢神経を刺激したり、覚醒作用を持った成分が含まれていたりすることで、睡眠を妨げてしまうのです。

例えば抗うつ薬や降圧薬、ステロイド、甲状腺ホルモン製剤、気管支拡張薬などは、不眠の副作用を引き起こすことがあります。

また利尿剤などは夜間のトイレ回数を増やし、中途覚醒の原因になることもあります。

さらにカフェインを含む医薬品やサプリメントを就寝前に摂取する場合も注意が必要です。

薬理学的要因による不眠は、薬の変更や服用時間の調整によって改善が見込める場合もあるため、自己判断で中止せず医師に相談することが大切です。

精神医学的要因

うつ病や不安障害、統合失調症、双極性障害などの精神疾患も不眠症の原因の一つです。

これらの疾患では、様々な要因から睡眠と覚醒のリズムが正常に保てなくなってしまうことがあります。

そのため、寝つきが悪くなる、夜中や早朝に目が覚めるといった不眠症状が現れます。

特にうつ病では早朝覚醒が典型的な症状で、気分の落ち込みとともに毎朝早く目が覚めてしまうという訴えが見られることも少なくありません。

不安障害では、「眠らなければならない」というプレッシャーそのものが不眠を悪化させるケースもあります。

精神医学的要因に起因する不眠症は、睡眠薬だけでなく、原因となっている精神疾患の治療が必要です。

生活習慣病の患者さんは不眠症になりやすい

生活習慣病を抱える患者さんは、不眠症を併発しやすい傾向があります。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患などの慢性的な疾患は、身体的な不調だけでなく、心理的なストレスや不安感をもたらし、睡眠の質に影響を及ぼすためです。

例えば高血圧や心疾患では、夜間の血圧変動や胸部不快感により途中で目が覚めることがあり、糖尿病では頻尿や低血糖によって睡眠が妨げられるケースもあります。

また生活習慣病の治療に使用される薬剤の一部には、不眠を引き起こす副作用があるものも存在します。

さらに生活習慣病は日常の食事や運動、ストレス管理とも密接に関わっており、こうした生活リズムの乱れがそのまま睡眠障害へとつながることも少なくありません。

そのため生活習慣病を予防・改善することは、不眠症の予防や改善にもつながる重要な要素といえるでしょう。

不眠症の対策・予防方法

不眠症の対策・予防方法として、以下が挙げられます。

  • 眠りに不安を持たずにリラックスする
  • 睡眠に適した環境を作る
  • 寝つきが悪くなる刺激を避ける
  • 適度に運動する
  • 朝起きてすぐに太陽光を浴びる

ここでは上記5つの対策・予防方法についてそれぞれ解説します。

眠りに不安を持たずにリラックスする

不眠が続くと、「また眠れなかったらどうしよう」という不安や焦りが生まれ、それ自体が心身の緊張を引き起こして眠りを妨げてしまいます。

このような状態では、ベッドに入るだけで緊張し、眠れなくなるという悪循環に陥りやすくなります。

そのため眠りに対する恐怖や不安を手放し、リラックスした状態で寝ることが大切です。

例えば就寝前に深呼吸をしたり、軽いストレッチを行ったり、リラクゼーション音楽やアロマを取り入れるとよいでしょう。

また「眠れなくても横になって目を閉じているだけで体は休まる」と考えることで、プレッシャーが和らぎ、自然な眠気を待つことができるようになります。

睡眠に適した環境を作る

快適な睡眠を得るには、眠りやすい環境を整えることがとても大切です。

室内の明るさ、音、温度、湿度、寝具の質など、周囲の環境が睡眠の質に大きく影響します。

睡眠に適した環境づくりのポイントは以下の通りです。

  • 遮光カーテンを利用する
  • 室温20度前後、湿度40~70%程度に保つ
  • 適度な硬さの敷布団やマットレスを使用する
  • 体型に合う高さの枕を使用する
  • 吸湿性・放湿性を兼ね備えた掛け布団を使用する

上記を参考に、睡眠環境を見直してみてください。

睡眠の質が悪くなる刺激を避ける

寝る前の時間帯に受ける刺激は、寝つきの良し悪しに大きく影響します。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • カフェイン
  • アルコール
  • 喫煙
  • スマートフォンやパソコンの使用
  • 激しい運動

カフェインを含む飲み物(コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど)やタバコなどは覚醒作用や交感神経を刺激する作用があるため、就寝前には避けるようにしましょう。

アルコールを摂取すると一時的に眠気を感じやすくなりますが、睡眠は浅くなり、中途覚醒が増える傾向があります。

また利尿作用もあるためさらに中途覚醒が増えてしまうのです。

またスマートフォンやパソコン、テレビなどの画面から発せられるブルーライトも、脳を覚醒させてしまい、寝つきを悪くします。

就寝1〜2時間前にはこれらの電子機器の使用を控えるのが理想的です。

さらに激しい運動や興奮するような会話・作業も神経を高ぶらせ、眠りに入りにくくなります。

代わりに読書や軽いストレッチ、ぬるめの入浴など、体と心を落ち着ける行動を取り入れると良いでしょう。

適度に運動する

適度な運動は体力をつけるだけでなく、睡眠の質を向上させるのにとても効果的です。

日中に身体を動かすことで、夜には自然と身体が休息を求め、眠気が訪れやすくなります。

ウォーキングやストレッチ、ヨガ、軽めのジョギングなど、負担の少ない有酸素運動が特に効果的です。

運動によって心身の緊張がほぐれ、ストレス解消にもつながるため、寝つきの悪さや中途覚醒の改善にも役立ちます。

ただし激しい運動を寝る直前に行うと、交感神経が活発になり逆に眠れなくなることもあるため、夕方から就寝2~3時間前までに済ませるのが理想的です。

毎日少しずつでも身体を動かす習慣を続けることで、自然な眠りのリズムを取り戻しやすくなります。

朝起きてすぐに太陽光を浴びる

朝起きてすぐに太陽光を浴びることで、体内時計をリセットし、規則正しい睡眠リズムをつくれます。

人間の体内時計は24時間よりも少し長くできているため、何もしないと徐々に就寝・起床時間が遅れていく傾向があります。

朝の日光を浴びると体内時計のリズムが調整され、夜になると自然に眠気が訪れるようになるのです。

起床後30分以内にカーテンを開けて自然光を浴びる、あるいは外に出て散歩する習慣をつけることで、体内時計が整い不眠症の予防につながります。

不眠症の治療方法

不眠症の治療方法は以下の2つです。

  • 生活習慣の改善
  • 薬物療法

ここでは上記2つの治療方法についてそれぞれ解説します。

生活習慣の改善

不眠症の治療では、生活習慣の改善が重要になります。

具体的な改善方法として、以下が挙げられます。

  • 定期的に運動をする
  • 規則正しい食生活を心がける
  • 睡眠に悪影響を及ぼす刺激を避ける
  • 睡眠環境を改善する

また上記のほか、ストレスをため込まない、昼間の悩みを寝床に持ち込まないといった意識も大切です。

不安や緊張は不眠症状を悪化させる要因となるため、寝るときは何も考えずにリラックスしましょう。

薬物療法

不眠症の薬物療法では、主に以下の3種類の睡眠薬が使用されます。

  • GABA受容体作動薬:ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬がこれにあてはまります。脳内のGABA受容体を介して催眠作用を発揮します。
  • オレキシン受容体拮抗薬:覚醒を維持する神経伝達物質オレキシンの働きを弱め、自然な睡眠を促す薬です。
  • メラトニン受容体作動薬:体内時計のリズムを整える神経伝達物質メラトニンを刺激し、自然な睡眠を促す薬です。

薬物療法の場合、薬によってメリット・デメリットがあるため、それぞれの特徴をよく理解したうえで服用する必要があります。

万が一副作用が強く現れた場合には、医師に相談しましょう。

まとめ

不眠症の主な原因として、ストレスや不安からくる心理的要因や身体的な不調が影響する身体的要因、生理的要因、薬理学的要因、精神医学的要因などが挙げられます。

原因は患者さんによって異なるため、原因を突き止め、それに合った対処・治療が必要です。

病気が原因で不眠症状が現れている場合は、その病気の治療が必要になります。

まずは何が原因で不眠症になっているのか、医療機関を受診して正確な診断を受けることが大切です。

金山こころとねむりのクリニック』では、不眠症の診療を行っています。

薬剤を最小限に抑える方針で治療を行っているため、身体に負担の少ない治療を行いたい方はぜひ当院の受診をご検討ください。

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